お医者さんが来て、今の様子を聞いてくる。頭は少し痛いけど、段々さっきよりましになっている。


廊下を走る音が聞こえる。誰?ここで走るのは小さい子供かな?
ガラスに人の頭が映る。ドアを勢いよく開けたのは……。


珍しい灰色の目を見開いた、同じ制服の子。
つかつかとベッドに近づく。


「あの……ありがとうございました!」


深々と頭を下げた。


「そんな……別にいいよ!あなたは大丈夫!?そっちにもナイフは行ってたけど……」


「はい、大丈夫です!このくらいならすぐ治ると思います!」


縮こまっていたあの子からは想像できない笑顔。
可愛いなあ。この子が傷付かなくてよかった。


私の手は……絆創膏だらけで、今日は絵を描けそうにないや。卒業記念の絵は式が終わった後に描こう。