「それでは、さっき席に戻るのが遅かった角野さん、花田さん、桐塚さん、東さん、江田さん、立って」


先生が手を叩くと、何だろうと言いながら角野さんたちが立つ。
先生が頭に黒い何かを乗せていく。角野さんが手を伸ばすと、それはまだ触らないでと言った。


昔見たテレビで、モデルさんが姿勢を維持するために頭に物を乗せていたけど、そんな感じかな。果たして落とさないようにじっとすることが、勝手な席移動の予防になるのかな。


前に戻った先生が手を叩くと、爆発音がした。
血が飛び散り、悲鳴と角野さんたちが倒れる音がした。


運悪く、選ばれた人が私の近くに二人いた。窓際の江田さんは窓にぶつかった後ずり落ちた。
ヒビが入り、べっとりついた血の線が下にある体の場所を示す。


右側の東さんは机に体の一部と血をのせ床に倒れこむ。
鉄のにおいが立ち込めて鼻に入ってくる。思わず口の中で血の味を再現してしまい、吐きそうになって手で固く口を押さえる。
頬に爪を立て、痛みで紛らそうとした。


「女子の皆さんは調子にのらないよう気を付けてください」


先生は何でもないような笑顔で、五人の体を窓から投げ捨てた。そのときは硬直して、誰も止めることが出来なくなっていた。


「回収するの手伝う人~?あっ女子で」


誰も手を挙げない。ひどい状態のクラスメイトなんて見たくないに決まってる。
私はスカートをぎゅっと握りしめ、唇をかんだ。


「男子に任せる気~?生意気ねぇ。死んでもいいの?」


先生が苛立ち、爆発させるためのスイッチと思われるもので教卓を叩く。
死にたくないから皆低く手を挙げた。


選ばれたのは、五人と仲のいい人たちだった。