家に帰ると、珍しくお母さんの自転車があった。
お母さん、家にいるのかな?


「ただいまー」


「お帰りー」


上品なワンピースやネックレスで飾り付けていたお母さんがいた。


「どこかいくの?」


「日山先生にお礼を言おうと思って。受験のときも色々教えてくださったし、一年のときもお世話になったからね。日山先生人気だから、明日は人が多くて近づけないだろうし、パッと渡しておこうかなって」


そういえば明日は卒業式だった。気味が悪いくらい触れなかったけど。


卒業式の練習、全然出来てない。
前からやってたけど順序とか頭から吹き飛んでる!


なんで卒業式吹き飛ばしてまでこんな辛いことを……。


お母さん女の人だし、危ないかもしれない。異常があったら突っ込んでいくから、現場を見てしまい口封じに……とかあるかもしれない。


そして今日も先生を見ていないから、学校に来てもいない。


「お母さん、行かない方がいい!そういうのは当日にしてこそだよ!」


「えー、でも当日は他の人も渡すだろうし、邪魔になりそうで……」


「卒業式の準備もあるだろうし今日の方が邪魔だよ!」


「そう……。じゃあ、明日春菜が直接渡してくれる?」


「もちろん!任せて!」


引ったくるようにプレゼントを取ると、リュックサックの中に突っ込んだ。