ブレザーの袖の血はとれなかった。紺のブレザーに赤黒くこびりつく。


警察にあの腕を見せても信じてもらえないか。
どうやって証明すればいいんだろう。


国から言われてやっているなら、警察も協力している可能性がある。
だっておかしいもん。こんなに生徒が帰ってきてないのに動かないなんて。


靴を履き替えた後、昇降口の壁にもたれた。
あっ、もう待つことはないんだ。


喪失感が襲ってきた。歩くスピードを合わせる必要がないからか、いつもより早く進んでいる気がする。


川が見えると、私は柵に駆け寄った。
そして拳を振り下ろした。


痛くない、ぶつけていないからだ。罪悪感があっても、我が身可愛さで罰を受けようとはしないんだ。


私は無力だ。


こんな私でも何か出来るなら……今度こそ、自分の命を犠牲にしてでも、何かを成し遂げよう。