「やっ!」


運動が得意な風上さんがボールを投げた。
深見もそれをキャッチし、運動が苦手で固まっている女子を当てに来る。


「きゃっ!」


固まっていたから身動きが取れず、あえなくアウトになる。


意外とすいてる前の方に出た方が当てられないのかも。
固まっているところに投げれば誰かに当たるから……。運動が苦手な私が一人でいたら、目立って狙われると思ったんだけど。


そう思ったのもつかの間。強いボールが腕に直撃した。


「うっ!」


やっぱりダメか。
腕を捲ると赤くなっていた。外野で試合の様子を見守ろう。


それにしても容赦ないな……。
直撃して倒れる子もいる。手加減ってものがないのかな。当たればいいんだからあんな力を入れなくても……。


「よっ」


茜ちゃんが当てられてのそのそと外野にきた。


「いやー直撃だったよ。痛かった。まあ先生に言われてやってんだから仕方ないね」


これも先生に言われて?
まさか、ボールを当てられたら殺されるみたいなルールじゃないよね!?


「今外野にいるけど殺されたりしない?」


「殺されたりしないよ。むしろいる方が安全だよ」


どういうこと?
わからないけど、この試合が終わっても皆が無事でありますように……。