私と茜ちゃんの共通点は、もう進路が決まっているということだけだ。それ以外は正反対。
あっ、漫画が好きなのも同じ、だけどそれは関係無さそうだ。


そういえば、面接の練習で山橋先生にお世話になっていた。一回だけ。
茜ちゃんもそうだろうし、それが理由か。


先生が残したいのは、進路が決まっている人や真面目な人。
私は推薦で決まったけど、あの学校は推薦でほとんど採る。私は大したことない。


昨日死んだ子と比べて残すべき人材じゃないと思うんだけどな。


マナーの勉強というのは、挨拶の仕方や身だしなみについて教わった。
普通にありそうな内容だけど、女子に対しては厳しかった。


「最後まで気を抜かないで!もう一回」


女子には声が小さいとか姿勢が悪いとかで、何度も挨拶をやり直させる。


「あなた、スカート短いわね」


先生が枢木さんの膝を睨んだ。枢木さんは真っ青な顔で震える。


「浜野さんも……」


後ろに並んでいた浜野さんがスカートを引っ張るも膝は隠れない。
元が短すぎるのだ。浜野さんはなぜか短いスカートしか持っていなかった。何を言われても頑なに変えなかった。


「前に出て」


「明日は直しますから……止めて……」


「ごめんなさい……助けて……!」


先生は容赦なく爆弾を投げた。


「嫌……いっ」


爆発音で声がかき消された。
煙がドアから出ていくと、無惨な姿の二人が現れた。今度は足を重点的にやられていた。


体育祭で活躍した長い足はもう跡形もない。
二人は友達が多かったので、我慢できずにすすり泣く声が聞こえる。


私は元から長めだから、簡単にOKを出された。
茜ちゃんはブレザーの中にパーカーを着るという、完全にアウトな服だったのに、学校では脱ぎなさいと言われただけだった。


なんだよあいつ、と冷ややかな目で見られていた。
なんでこんなに差をつけるの?死にたくないけど、自分だけ少し安全なところからみている感じで気分が悪くなる。