しばらく歩いたところで、ガコッという音がした。


「何?」


見ると、茜ちゃんの自転車が側溝にはまっていた。


「あちゃー。よいしょっと」


私たちも手伝い、自転車を引き上げた。


「うわ後ろのタイヤパンクした。重っ……ごめん、先に行ってて」


最悪の事態を想像し、ゾッとした。冷たい血が下がってくるような感覚だ。
見るとタイヤは上に押し返すことなくひしゃげていた。


「え!?ちょっと待って!それじゃ茜ちゃんは遅刻するよ!?私も手伝うから皆で……」


愛実ちゃんは後ろに周り、自転車を持ち上げようとした。


「いいのいいの。遅刻しても大丈夫だから。切り抜ける方法知ってるんだよ」


愛実ちゃんはもう一度手伝うと言ったけど、茜ちゃんは頑なに断る。
仕方ないので三人で行くことになった。


「絶対ダメだよ……ああ……」


愛実ちゃんが真っ青な顔を手で覆った。