三枚目に取りかかっている時に、またお母さんに呼ばれた。お母さんはドアから顔だけ出した。


「春菜、お風呂入って」


ペンを一旦置いてお風呂場に向かう。
体を洗った後、湯船に浸かった。


安心する。手に熱が集まり赤くなる。まだ生きているんだ。


水を軽く叩くと小さな波と水紋が現れる。
天井から大粒の雫が落ちてきて、もっと大きな水紋を広げた。
もっと大きいのを作れるかな?水を救い上げ、落とした。


濡れて輝く手を見つめた。いつかこれが赤黒く塗れる時がくるんだ。
勇気を出して嗅ぐと、石鹸の香りがした。鉄のにおいは消えたんだ。


上がって三枚目を完成させよう。
重い足を上げ、湯槽から出た。