あの事件の間学校にいなかった先生は、別の場所で生徒と同じようにゲームに参加させられていました。
若い先生や反抗的と見なされた先生たちです。地下室に閉じ込められ、強い女の先生は殺され、反対に気弱な男の先生は矯正と言う暴行を受けました。


生き残っていたのは八人でした。十五人の先生の命が奪われ、生き残った先生も二人が辞めてしまいました。


この政策は、男が弱くなり女が強くなると、世界は女が動かすようになり、やがて戦争を起こすという予言から始まったものでした。
ある年にうまれた女はこれまでにないほど気が強いから、その女子を押さえつけるだけでも戦争は防げる、等と言われていました。

予言はある宗教の信者しか信じていません。しかし、総理大臣とほとんどの省庁の大臣が信者だったのです。
賄賂や反対する議員に濡れ衣を着せ辞職に追い込むなどして、中学校を卒業するタイミングに、国民には秘密でとうとうこの政策は実施されました。


内容は、男と女の対応に差をつけることで立場を明確にする、男の方が力が強いとわからせるため体育で勝負させる等でした。
男子側にハンデを設けず勝負させる、厳しく叱責し反抗する意思を削がせるということが行われていました。


しかし、狂信的な信者はそれでは満足しませんでした。
押さえつけたように見えても今は大人しくしているだけだ、悪い芽は摘み取らなければいけない。


そんな先生があの中学校には集まっていたのです。新しい先生が来ると宗教に誘います。最初は高額なお布施も要らない、他の宗教も敵視しない、無害な宗教を装います。
断れば他の中学校に行かされるか、陰湿ないじめを受けました。入信すればいじめは止め、打って変わって優しくなります。頑なに拒んだ先生の中には耐えきれずに辞めた先生がいました。


他の中学に行かされることは今の市長になるとなくなりました。しかし学校内部で陰湿ないじめは残っていました。
そうして信者が集まる職員室が出来ました。


信者の先生は、女らしくない女子を殺すことにしました。
ドラゴンや機械の絵を好むのは女らしくない。体力で一人でも男子を越える女子は女らしくない。短いスカートは下品で女らしいとは言えない。


しかし、体力で男子を越えることがあっても、これはまぐれと言っていれば、先生は見逃しました。男子の方が強いとわかっているなら殺す必要はなかったのです。


生徒には、規律を乱す生徒を殺していると言ったので、もちろん規律を乱す生徒も殺しました。女らしくない生徒を殺すと言えば、政策との関係を疑われると思ったからです。まあ女子だけを殺す時点で疑われるのですが。
女らしくない生徒を取り逃すことがないように、親が信者の生徒や女子を恨む生徒をスパイにしました。


爆弾は密輸し、それを元にして小型の物を信者で量産しました。足りなくなると銃を使うようになりました。
爆弾で殺すことで、生徒に恐怖を植え付けようとしていたそうです。

先生によって方針は違い、最低限の爆弾で淡々と殺していく先生もいれば、女子への怨みから暴行の後に殺そうとした先生もいました。

こんな滅茶苦茶な計画ですが、政府の圧力で警察は動きたくても動けませんでした。その結果、多くの生徒が犠牲になりました。


ある警察官は諦めずに上に働きかけ、やっと警察が動きました。その時政府には知らせていませんでした。
あそこまで言うんだからきっと証拠があるんだ。どうせ俺は前の事件でやらかしたんだ。今更政府の言いなりになってもしかたがない。後で署長はそう語りました。


先生は口をそろえてこう言いました。たとえ逮捕されることになっても、平和を守らなければいけなかった。

この事件は今も謎が多く、ネットではデマが広まったり、議論も起きました。


ただ、その年の女子は気が強く、いずれ戦争を起こすという予言に科学的な根拠はなかったようです。