「あの状況でも助けようとしたんだな。やっぱり優御はすごいな」


そう言ってもらえるようなことが出来たのかな。


「亡くなった子が一番少なかったし、優御もクラスメイトも全力を尽くしたんだろ?」


それは初耳だ。
そっか、一番少ないんだ。


「うん。皆良い子だからね」


私は潤んだ目を細め、マフラーに顔を埋める。
私は最善を尽くしてきたつもりだった。結果に納得できないこともあったけど、どんどん近付いている気がする。


結果を認めないのは皆の努力も認めない事になるかもしれない。うん、賞という形で努力が報われるのは良いことなんだ。だって頑張っても賞を取れないクラスだっていたんだから。
そう考えると思い出をもっと大切にしたくなった。でも、あの三日間のような思いはしたくない。だから……。


一番の、もっと上を目指し続けよう。


「リア充末永く爆発……は、ちょっとアレだね。よし、私は幸せそうな二人に心打たれるとしますか」


家瀬さんがくくくとのどを鳴らした。見ると家瀬さんが枝に乗って幹に手をついていた。
びゅうっと強い風が吹いた。家瀬さんの姿は桜の花にかき消された。


見ていて照れるくらい、晴哉と一緒にいてやる!
晴哉の手を取ると、運ばれてきた花弁が頭上から舞い降りてきた。