前駆たちの望み

落ち着いてから椅子に座り、お母さんに話した。信じられなかったみたいで、嘘をつかないでと私の体を揺さぶった。
そうだよね。先生が生徒を爆弾で殺す、なんて正常な人なら考えない。


「でも、本当。ブレザーの背中を見て」


お母さんをハンガーラックまで連れて行き、ブレザーをひっくり返して見せる。赤黒くこびりついた血。家瀬さんの血だ。


「これが、私を助けてくれた子の……」


お母さんは血を凝視する。そして口を押さえて涙を溢した。
もう話すことはない。もう何もしたくないから部屋に行ってもいいよね?
足には冷たい木の階段の感触がある。私はなんとか生きている。


家瀬さんは生きて家の床を踏みたくなかった。
起きていたら、こうすればよかったと他の策が思い浮かんで、死んだところを思いだす。寝かせてほしい。


横になって目を閉じれば、眠るのにそう時間はかからなかった。