前駆たちの望み

死にたがっていたとするなら、理由は何?友達はいたし、高校だって決まっていた。


もしかしたら、心無い言葉に傷ついていたのかもしれない。
他のことが理由かもしれないけど、残酷な死に方に救いを求めるほど、追いつめられていたんだ……。


そう考えると心が痛んだ。私は家瀬さんのことを全然知らなかった。こうなるまで気付かなかった。


涙がこみ上げてくる。歌が終わるまで泣くなと言われていたけど無理だ。誰かが欠けたクラスでは歌えない。


机に突っ伏した。あれ、下がなんか騒がしい……。
開けた窓から聞こえているらしい。耳をすましていると、走ってくる足音がした。この足音は先生っぽい!勢いよく頭を持ち上げた。


「聞け!今までの事は話すんじゃないぞ!話せば男子も始末の対象だからな!」


乱暴な口調でそう言い残した後、ばたばたと去って行った。


「あれ先生?」


そう言った女子は目を丸くして、友達と顔を見合わせた。
生徒を殺し出してからも話し方は変わらなかった。よほど焦っていたんだろう。
それにしても、今になって口止めするなんて……。


また走ってくる人がいるようだ。今度は誰?


「先生が女子を殺そうとしてるとこ親に見つかった!」


他のクラスの子が大慌てで報告しに来た。その子を中心に人が集まる。だから先生は口止めしたの?無駄なのに。
殺そうとしてるとこ、ということはまだ死んでない。それはよかったけど、すでに人が死んだってことは知られていないかもしれない。


「爆発させるところを見せて信じさせたって」


「え?爆発でその子助かったの?」


「違う、誰もいないところを爆発させた」


クラスにいた人たちが次々と疑問を口に出し、その場を見た人が一つ一つ拾い上げ答えながら状況を確かめる。しばらくして放送が入る。


「卒業式は延期します。速やかに下校してください」


終わった……。放送に騒然となる教室。


「帰れば安全だし、とりあえず帰ろう!」


言ってから、あの放送をかけたのはPTAの人だ、先生がいるかもしれないと思い直した。
けど、失言を責められることも爆発音もない。幸い私の話なんか聞かれていなかった。


私はリュックサックを背負い、外がどうなっているのか見る。人が集まってる。
一足先に下に行って様子を見る。


「ナイフで刺されたって……」


「なんで爆弾じゃなかったんだろう。生きてるからいいんだけどさ」


ナイフで刺された?どの人のことを言ってるんだろう?
私は話していた人たちに退いてもらい、もっと先に行く。