「ただいま」


「おかえり」


私は部屋に駆け込み、リュックサックを投げ捨てた。
思い出のものを入れた引き出しから取り出していく。


これは部活の皆で撮った写真だ。愛実……!
今部活の皆が何人残っているのかもわからない。


大人になったらシェアハウスとかしてみたくない?


楽しそうだね!当番決めて家事したり……。


私料理作れないんだけど!


部活での会話を思い出した。これも叶わない夢か……。
春菜も今私のようになっているのかな?


これは……合唱コンクールのときの楽譜だ。ペンで色々書いてある。


そしてこれは体育祭のときの写真だ。皆日焼けして、笑っている人もいれば、目を赤くして、唇を歪ませる人もいた。


このとき私は泣くのを我慢して必死に口角を上げた。
御浜さんと小川さんは全力を尽くしたから楽しかった、銀でも賞がもらえてよかった、と笑っていた。
家頼さんは、いつもの笑いきれていない笑顔を浮かべていた。


その写真を除けると、また違う写真が出てきた。


「晴哉……」


二年生の春休みにデートしたときの写真だ。晴哉が私の肩に腕をのせてピースしている。
カバンには晴哉とお揃いのストラップが光っている。


晴哉……!
この不安な気持ちを打ち明けたかった。前までは、晴哉が守ってくれると思っていた。


「お前らくだらんことばっか話してるな」


晴哉が、私の悪口を言っていた男子に言い放ったことがある。
もう晴哉に助けてもらうことはできない。


なんでこんなことになったの!?
理想の一年間とは程遠い。不幸はまだ続く気もしてきた。高校落ちて、劇も演じれなくなって……。
最大の不幸は死んでしまうことだけど。


願ったことは全て叶わないものなのかな。
絶望して、私は床に寝転がった。