前駆たちの望み

「死体を片付ける人?」


「私がやります」


私はピンと手を挙げた。


「それでは岩手さんにお願いします。向こうの武道場のところに置いてください」


私は家頼さんに近付き、指を重ねている腕を掴んだ。
私は家頼さんを倒すのが嫌だった。運んでしまえば多くの死体と一緒に打ち捨てられる。
それでも私は家頼さんを背中に負った。


私はまた、クラスメイトを運んでしまった。
武道場は近かったから運ぶことができた。顔も無くなった死体が折り重なっている。


家頼さんは口から血を出したけど、綺麗な方だった。
その折り重なったところから少し離して置いた。


もう、あの中を立っていたとわからなくなった。
このままにしておく訳がない。どこかに埋められて、何もかもわからなくなるんだ。


この中の一人一人に歴史がある。短かったけれども、かけがえのないものだ。


後ろ髪を引かれながら、私は教室に戻った。