「静かにー」
誰よりも大きいその声に矛盾を感じつつも、口を閉じた。
体育館にアナウンスが流れ、先生が合図を送れば、先頭の子が足を動かす。
大きな拍手と吹奏楽部の音楽に合わせて、新入生が体育館に入っていく。
男の先輩が逢をチラチラと見て何か言っているのが視界に入った。
やっぱ逢は、人の目を引く何かを持ってんだよなぁ…
嫌だな、って思ってもしょうがないけど。
逢も、俺と同じこと思っていてくれたらな。
そんなん、叶うはずもないけどさ。
俺が、好きって言ったら、また困った顔して笑うのかな。
なぁ逢、俺は怖いよ。
また、お前が消えるんじゃないかって。
居なくなってしまうんじゃないかって。

