「雨宮那知っていうんだ、よろしくな」

「あめみや…なち、くん…漢字はどう書くの?」


「天気の雨に、宮殿の宮。なち、は那覇の那に、知る」

「わ、綺麗な名前だね、苗字に天気入ってるの同じだ」

ふわりと笑う彼女に、つい見とれてしまう。


「雪と雨だな、俺より逢の名前の方がすげぇ綺麗だと思うよ、俺は。いい名前付けてもらったんだなぁ」


「ありがとう…お父さんが付けてくれたんだ」

逢は嬉しそうに言った。


お父さんのこと、本当に好きなんだな。


俺は逢のことをまだ何も知らないし、
俺のことも逢はまだ何も知らない。


逢に関しては、俺ってただの馴れ馴れしいやつ、だよな…


「…那知くんは、話しやすい」

那知くん、か。
“なーくん”とは、やっぱり呼んでくれないよな。

「逢も話しやすいよ」

「そうかなぁ…?」

嬉しそうな逢に、俺も嬉しくなった。