「…はい」 そう頷くと、 逢の父親は「そうか…」と目を伏せて、少し寂しそうな安堵した表情を見せた。 逢の父親は、俺にゆっくりと近づいて 俺の手を取った。 カサついて冷たい大きな手から、俺の手のひらへ。 かさっ、と静かに音を立てて渡されたそれは 青く、今日の空のような色だった。 「逢の、鞄に入っていたんだよ」