君はいないのに今日も空は綺麗で、僕は泣いてしまった。



「…はい」


そう頷くと、

逢の父親は「そうか…」と目を伏せて、少し寂しそうな安堵した表情を見せた。


逢の父親は、俺にゆっくりと近づいて

俺の手を取った。


カサついて冷たい大きな手から、俺の手のひらへ。


かさっ、と静かに音を立てて渡されたそれは

青く、今日の空のような色だった。


「逢の、鞄に入っていたんだよ」