家に帰っても、虚無感からは抜け出せなかった。

どんなに楽しそうなテレビの声や、陽気な音楽が耳に入ってきても身体の中には馴染めなくて。


通り過ぎていく。


ベッドに倒れて、重い手を額に乗せた。

「…っ……なんでっ、、……んだ…」



なんで。

なんで。



「何で、逢だったんだよ……」


どうして、手放したんだろう。

わかってた気がしてた。


それだけだった。

俺は、ほんとは君のことなんて全くわかってなかったんだ。