「父さんっ!」








雲ひとつない快晴の空の下で、そんな声が聞こえる。




「幸(こう)」



その名を呼ぶと同時に、俺よりもだいぶ小さな、手袋に包まれた手が、俺を彼女の元へ導く。




「母さん、今年も来たよ!おれ、もう4年生になったんだ!」




墓石の前で、白い息を吐きながら元気よく笑う我が子の頭を小突く。