おぼつかない足取りで窓のそばまで来て、ゆっくりと青いカーテンを開ける。
目の前に広がる世界に、窓を開けた。
風が入り込んで、俺の体を冷やす。
それでも……
「…空が、綺麗だ……」
まるで、あの子が空から見守っているように、
この言葉を俺に言って欲しいと、彼女が言っているみたいに。
“私はここにいるよ” って、言ってるみたいに。
雪は降りやまないけれど、暗い雲の間から見える空が蒼く、澄み渡っていた。
「…逢…?」
ポッカリと空いた雲はそこから、青色をともなって、光のカーテンを作る。
頬を伝った涙は、流れ出る光に照らされて、空色に反射する。
そして俺は今日も、君を想いながら、綺麗な空を見上げるのだろう。
涙を乾かすように、冷たい風が俺の頬を撫でた。
季節外れで、見覚えのある桃色の花弁が、
ベッドの上に、たったひとひら
咲き誇っていた。

