「 “悲しくなったら空を見上げて” 」




彼女の綺麗な声で紡がれたその言葉は、いつか俺が言った言葉。



「私の幸せは、空から那知に届くよ。だから、悲しくなったら空を見上げてね」


「………ん、逢も。抱えすぎんなよ?たくさん人に甘えるんだぞ?」



それで、それで……



「俺が心配なんてする隙もないくらい、幸せになって」


ほろほろと、崩れるように涙がこぼれる。


それとは対照的に、逢は目を潤ませながら、にーって笑うから。

つられて笑みを浮かべた。



夜が明けたら、きっと雪が積もっている。




ひどく雪が舞って、君の綺麗さを引き立たせてくれるのだろう。