まだ暗い空、静かにやってきたバスに乗り込むと、俺と同様いつもよりもうんと早いバスに彼女は乗っていた。


「おはよう、逢」


「……うん、おはよう。那知」


俺を見て一瞬悲しそうな顔をするから、俺もぐっと心臓が痛む。


「隣座って、那知」

そう言った彼女の隣に座って、手を繋いだ。



まだ、俺はここにいるんだって。


せいいっぱい、彼女に伝わるように。


ターミナルについてバスをおりた俺たちは、まだ誰も同じ制服を着た学生がいない通学路を手を繋いで歩いた。


教室には案の定誰もいなかった。



ふたりで教卓の横の段差に、ただ寄り添って座った。