「那知」

昼休み、呼び止められた声に振り向く。


「裕也」

「…ちょっといい?」


朝の話の続きだろうか。

朝と同じ人気のない廊下で、並んで壁に寄りかかった。


「…雪白から、那知に話をすると思うから」


その横顔が少し切なくて、よく見れなかった。



「…ちゃんと、聞いてあげて。俺からも、お願い」


「…うん、ちゃんと聞く」


真剣な顔から、ふわりといつもの笑顔に戻った裕也。

ふたりが別れた理由は、鈍感な俺にはやっぱりわからなくて。


それでも鈍感なりに、ちゃんと向き合おうと思った。