思考を遮るように鐘が鳴る。

聞きなれた、癖のある音。


「教室戻ろう」

裕也のその声につられるように足は動いて、教室へ戻った。


「那知、ひろくん、おはよう」

「おはよう、雪白」


いつも通りのふたりに、俺だけが置いてけぼりのようだ。

この様子じゃ、別れたのはもう少し前なのだろう。

「おはよ、逢」

少し大きめのセーターを着ている逢に、もうそんな時期なのかなんてハッとする。


俺がこの世界から居なくなってしまうまで、もう3ヶ月を切っていた。


とりあえず、逢はもう助けられたんじゃないか?

これまで溜めてきたものを全部俺へぶつけて、流して、スッキリして、今心から笑えている。

もう、逢は大丈夫だ。


教室の窓から見上げた空に、小さく飛行機が飛んでいる。

ひこうき雲はなくて、ずっと青が続いていく。



これから3ヶ月…


俺は、別れの準備をしよう。




…うん、空は綺麗だ。