12月に入り、もう冬の匂いがする日の朝、俺たちの学年はある話題で持ち切りだった。


「…なんで、なんだよ……」


俺はその話題を、人気のない廊下で、本人から聞かされていた。

勝手に、全て託したはずだったそいつに、情けなく縋る。


「なんで、別れたんだよ……裕也」


裕也は、逢に別れを告げた。


別れた理由を聞く権利なんて、俺には全くないのだけど、それでも気になってしょうがない。

「…逢も、望んでた結果だよ。俺たちは、変わらず友達でいようって話になったんだよ」


円満離婚のようなものだと、崩さない彼の笑顔は、俺の作った笑顔とよく似ていた。



あの夜から、逢はもう、こっちが不安になるあの悲しい顔をしなくなった。

人との間に壁を作ることも、最近はなくなってきているようだ。

着実に、彼女の傷は治ってきている。


……なのに…