ねぇ、逢。
「俺は、ずっと君が好きだよ」
零れた本音も、波の音にうち消されて、トドメに風が攫って行った。
「何だよみんなして……やっぱ、前の世界で逃げた俺にはそんなこと言う資格もねぇってことかよ…、」
『別れる』なんて、言わなきゃよかった。
なんて何回後悔したって叶わない。
もう俺が君に好きだと言うことも、君と友だち以上の関係になることも叶わない。
願ったって祈ったって俺は彼女のことを嫌いになんてなれっこねぇけど、諦めるくらいは努力してみるよ。
だけどそれまではちょっとくらい、傷付いたって泣いたっていいだろ神様。
この世界に連れてきてくれたあんたは、やっぱ考えても優しいのか残酷なのかわかんねぇけど、
「泣くくらい、見逃してくれよ……?」
なぁ、逢。
俺は、俺じゃないみたいに泣いてしまうほど、
お前が好きだよ。
この年になって泣くなんて何かやっぱ恥ずかしくて、片手で顔を覆ってみたりしたけど、
一度決壊して流れる涙は、頬を伝って止まなかった。

