「はぁ…」
無意識についたため息は落ち着くような気もするが、洞窟中に広がって俺を包み込むみたいでさらに気持ちが落ち込む。
ため息をつくと幸せが逃げるなんて言うけれど、それはやっぱりあながち間違ってないんだな。
「……はぁ…」
そう考えては、また無意識にため息を漏らす。
瞳を閉じれば、逢の笑顔と、
前の世界で恋人になった途端、目を合わさなくなったことを思い出す。
やっぱ、俺は…君の友だちで居なきゃいけない。
なのに。
『逢が好きで、恋人になりたい』って自分と
『逢のために、友だちのままで居なきゃいけない』って自分が、交差して混じりあって、ぐちゃぐちゃに崩れる。
自分の気持ちさえ制御できなくて、喉が熱くなった。
この世界に連れてきてくれた神様は、優しいのか残酷なのかわかんねぇな。
前の世界では必死に神様に“逢に逢いたい”と願ったのに、彼女が他の人のものになろうとしてると、また神様に縋ってしまいそうだ。
ほんと、わがままだなぁ…俺。

