それから逃げるように水辺を歩いて、押し寄せて俺の足を濡らしては去って行く波を見つめる。
「…なんだここ」
気付かないうちに浜の端っこまで来ていたらしく、後ろを振り返ると、逢たちも少し遠くに見える。
「涼し…」
そこは崖が小さな窪みになっていて、小さな洞窟のようなものになっていた。
そこに入ると、ほかの四人は見えない死角になっていて、一人で居るような感覚になる。
その中に一つだけぽつんと佇む大きな岩に、腰を下ろした。
海風が入り込んで、俺の髪を揺らす。
髪色はこんなに明るいのに、俺の気持ちは真夜中のように真っ暗で、心も頭の中もぐしゃぐしゃになってしまいそう。
こんな自分の感情に振り回されるなんて、馬鹿みたいで。
それでも俺がそんなふうになるほど、彼女が好きなんだって自覚して、それからまた落ち込んだ。

