この世界では、上手くできるかな。 どう思う? 「…逢、…幸せになれ」 はしゃぐ逢と裕也に背を向けて言った、ほんの少し嘘が混じった本音。 「幸せになれ」 何度も、何度も、呟いたそれは波にさらわれて、君には届かない。 「あははっ、ひろくんやめてー!」 彼女の楽しそうな声に、笑みがもれた。 それに対して濡れた頬は、波しぶきが飛んできただけだと、必死に自分に嘘までついて。 落ちる雫が、海に溶けるのを眺めていた。 「…眩しい」 海に反射した太陽の光、笑い合う二人、何もかもが俺には眩しすぎる。