波が音を立てながら、俺の足を飲み込んでは引いていく。 冷たくて、気持ちいい。 青い空と、青い海。 青に囲まれて思い出したのは、前の世界で葬式があった日、逢の父親にもらった、彼女からの手紙だった。 “好き”だと逢から初めてもらったその言葉は、俺が君から一番欲しかったものだった。 けれどそれを知った時、君はもういなかったね。 青い手紙と、ぐしゃぐしゃになったチョコレート。 ねぇ、逢。 俺は、タイミングがとことん悪い男らしい。