「…なぁ、逢」 少し低く落ち着いたような声色を放つ那知に、私の心臓は静まっていく。 「なぁに?」 お互い、下を向いたまま目も合わさず話す。 「前、好きな人欲しいって言ってただろ?」 あぁ…那知と初めてあった日。 入学式の帰りのターミナルで…… 『私も、好きな人欲しいなぁ…できる、かな』 「…うん」 その思いは、今でも変わっていない。 けれど…ほんとに、出来るのかな。 今だって、急に“友だち”から“異性”になったひろくんに戸惑っているのに。