『…うん、そうだね、ふたりで見てね!』
逢も理久と日向にそう言って少し悪そうな顔でいたずらっぽく笑う。
…かわいい
掴んだ逢の腕から俺のこの気持ちが伝わってしまわないかと何故だか怖くなって、パッと手を離した。
『……』
行き場のなくなった手を首の後ろに当てて下を向く。
そんなふうに俺が思っていることも知らないであろう彼女は、少し眉を下げたように見えた。
『じゃあ、行くか〜』
理久の声で動き出して、大きなショッピングモールへ向かう。
七階にある映画館へエレベーターで登って、着いたそこはポップコーンの甘い匂いが漂っていた。

