『次は──』 聞き慣れたような低くて渋い声が俺の最寄りのバス停を告げる。 そばにあるボタンを押すとポーンという音が鳴って、次止まりますという機械音が聞こえた。 『逢、じゃあまたな』 去り際にぽんぽんと頭を軽く撫でてバスを降りると、窓越しに頬を淡い紅色に染めた逢と目が合って、俺の方が赤くなってしまった。 『…はぁ、あの顔は……ダメだろ…』 遠くなるバスに背を向けて、小さく呟きながら片手で顔を覆う。 ほんと、もう… 『すげぇ好きだ』