『はは、りょーかい』
バス停に止まると他校の制服を着た学生が乗り込んできて、話をやめる。
『詳しいことは後で連絡するね』
さっきよりも小さな声でそう言った彼女に俺は笑顔を返して窓の外を見た。
うーん。
これは…もしや
ダブルデート、というものなんだろうか。
そう考えると少し緊張して逢の方を見れなくなってしまった。
頭は彼女を見たいと言っているのに、心がそれに追いつかなくて。
体が動いてくれなくて、ただ、彼女とは反対の窓の外をずっと眺めていた。
多分、この頃くらいかな。
俺の中で確実に育ってきた気持ちが、はっきり目に見えるのようになったのは。

