君はいないのに今日も空は綺麗で、僕は泣いてしまった。



五月半ばに入る頃には、随分と俺たちの距離感も近付いていた。


『逢、今日部活休みだし一緒帰ろ』

今日は金曜日だし、また二日会えなくなるから誘ってるなんて恥ずかしすぎて言えなかったけれど。

『なーくんっ、ほんと?まってー』


俺は彼女を呼び捨てで、彼女は俺をあだ名で呼ぶようになった。

なぜ“なーくん”になったのかはわからないけど、日向と考えたらしい。

ちなみに理久は“りっくん”だった。


いつもの赤いバスに乗り込んで、通路を挟んだ隣の席に座る。


『ねぇねぇ、なーくん』

『…ん?』

俺も逢もあまり表情は変わらずに淡々とした声で話す。