Secret answer ~キミノトリコ~


「音くん!ちょっと待って」
「やだ、待たない」

沈みかけた夕日に照らされてのびた2人の影が近づく。

「だって…やっぱりどう考えてもおかしいよ」
「おかしくなんかないでしょ。僕だって男だよ?」

次の瞬間、影なんかじゃない本物のぬくもりがぐっと近づいて――

「ちょっと!私何も持ってないんだけど!」

私が唯一持っていた自身の通勤バッグまでをもが、ひょいっと奪われた。

「人気アイドルに荷物持ちさせるだなんて…もう私、全国の音くんファンに顔向け出来ないよ…」
「僕のファンの子たちはみんな優しい子たちばっかりだから!大丈夫だよ~」

なにが一体大丈夫なの…

なんだかんだ買いすぎてしまった感が拭えない量の2袋分のスーパーの袋。
そして、実彩子先輩に借りた大量のDVDが入ったなかなかの重さの紙袋。

「これでも結構鍛えてるんだよー?なんなら見る?僕の腹筋」
「それはもう無料で見ていいものじゃないと思うから、遠慮しておきます」

しまいには先ほど取り上げられた私のバッグまでもを持って平然とした顔で隣を歩く音くんは…言葉の通り、それなりにきちんと鍛えているのだろう。

ナチュラルにコミュニケーションをとる彼のペースに流されるまま、気が付けばもうすぐそこに見慣れた自宅が見えるところまで来ていた。