「別に。……大学の同期とは1日の大半一緒で、婚約者の俺とは夜に少し顔合わすだけなんて癪だろ」


「それって、瀧のこと?」



意味深な瀬那に、疑問をそのままぶつければ



「わざわざ名前出すな。アイツの顔を思い出すだけでムカつく」



ムッとした瀬那は窓の外へと視線を外してしまった。そんなに瀧のこと嫌いだったとは……。



「この前のことなら、瀧の悪い冗談だよ!たまにあーいうところあるから。気にしない気にしない!」


「……何でお前はいつもいつも、そう能天気でいられんのか不思議で仕方ねぇ」



ハァ……と、わざとらしくため息をついた瀬那に「能天気って、褒め言葉?」と首を傾げながらも、これは多分褒められてないな!とどこかで察した。



それでも、瀬那の手から鍵を受け取った能天気な私はニヤニヤが止まらないんだから仕方ない。



「ヘヘッ、毎日 瀬那と寝られるなんて……寝顔見つめすぎて寝不足になりそう」


「……襲われても文句言うなよ」


「へっ!?!?」



ニヤッと笑った瀬那に、一瞬で心拍数が上がって


動悸、息切れ、ついでにめまい。