「俺から話すから……ちょっと、待って」
それだけ告げて、私の肩口におでこを載せると浅い呼吸を何度も繰り返す。
少しして、だんだんと落ち着きを取り戻していく瀬那の呼吸の音。
浅い呼吸から大きく空気を吸い込んで深い呼吸へと変わっていくのを聞きながら、私の頭の中はあれこれ忙しく色んなことを考えている。
どうして瀬那はここが分かったんだろうとか。
これから瀬那に何を言われるんだろう、とか。
久しぶりの瀬那の匂いは安心するな〜とか。
やっぱり瀬那が大好きだな、って。
「さっき、」
「……うん?」
ようやく落ち着いたらしい瀬那が、静かに話し始める。それに相槌を打ちながらも、抱きしめられたままの私は微動だにできない。
「片瀬からメッセージが届いた」
「茉央ちゃんから?」
「佑麻のことちゃんと捕まえとかないと取られるぞって」
「……茉央ちゃんってば、いつの間に」
全然そんな素振り見せなかったし、一言も言ってなかったのに。


