「お前が幸せになるんなら、俺のこの気持ちだって諦めがつく。……だけど、もし。お前が不幸になる事があれば、俺がいつだってお前を幸せにしてやる」
瀧の優しさに、一瞬で涙が滲む。
思えばいつも瀧の不器用な言葉と、態度に、何度も何度も助けられてきた。
私は、いつだって私なんかを好きだって言ってくれる人に、いつも申し訳ないくらいの勇気をもらっている。
高校時代にも、こうやって私の背中を押してくれた人がいた。そして今、瀧も同じことをしてくれている。
自分のことばかりいっぱいいっぱいで、私はみんなに何も返せないのに……どうしてこんなに優しくしてもらえるんだろう。
「……瀧、ありがとう。私、瀧がいてくれてすごい毎日楽しいよ。いっぱい笑わせてくれて、大変なことがあっても、瀧と一緒だって思うと頑張れた」
「うん」
「だけど、瀧は友達だよ。私は自分の幸せのためじゃなくて、私の手で好きな人を幸せにしたいの。誰より1番大好きな瀬那が、幸せだなって思う瞬間を作るのが自分でありたいの」
「ハッ……普通、女は自分が幸せになることを1番に考えるだろ。ほんっと、変なやつ」


