実際やんちゃな先輩とよく話しているところを見ていたからなのか私の中ではやんちゃな人に位置付けられた。

私がそんなことを考えているとも知らず先生は私の方を向く。

「初めて美術持つよね。よろしく」

「あ、矢田です。よろしくお願いします。」

そっけない話し方は元からで、人見知りだから仕方がない。愛想悪いともよく言われるけどこれは治しようがないと思っている。

先生は私がさっき先生を見たように私の顔をまじまじと見つめピンとした顔をして

「矢田??矢田梨花の妹か!」

と言った。

「あ、はい。そうです。」

当たって嬉しそうな先生とは裏腹に私の気持ちは下へ向かっていった。

またこの反応か、と。

私の姉はテニス部で部長をしているしっかり者で先生からの評判も良く、友達も多い人気者だった。だから私は入学した時から「矢田梨花の妹」として扱われた。

でも私は性格的に人見知りであまり友達も多くなく、部活の卓球でもあまり良い結果を残せず、周りの評価もあまりいいものでもなかった。だから顔が似ている完璧な姉が少しコンプレックスでもあった。

この反応には慣れているけれどあまり気持ちのいいものでもなかった。だから自然と返事も素っ気なくなる。

しかし先生はお構い無しに話し続ける。


「まあ姉とか関係なく見るから。だからお姉ちゃんが成績良くても無駄だぞ〜。」

そうふざけながらいったその一言が私にとっては初めてだった。


先生はお姉ちゃん関係なしに私を私として見てくれた。先生は忘れてるかもしれない言葉だけど何よりも嬉しく、私にとって初めての経験だったんだよ。先生。