高速に乗ると、急にスピードが上がった。


冷たい風がリアルに感じられる。




「怖いか?」


「...ううん、全然」




むしろ気持ちいい。


こんなに風を感じたの、生まれて初めて。


蓮央の背中に顔をつけると、すごくあたたかくて。

なぜかとても安心する。


少し前を走る圭太の後ろでは、零羅さんが大はしゃぎ。

『もっともっと』と催促してるみたいで、そのスピードは徐々に上がっていく。


歩たちは...諒真さんと並んで言い争いしてるみたいで、真浩が可愛く舌を出している。


ここまで来てもケンカか...。


仲がいいんだか悪いんだか...。



ふと気付いた、蓮央の広い背中。


...私、普通にここに寄りかかってた。


あんなに人が嫌いだったはずなのに、今は何も考えずに...。




「...蓮央」


「ん、どうした?やっぱ怖いのか?」


「私、人嫌いが治ったみたい」


「...へぇ、良かったな。俺のおかげ?」


「かもね」


「お。珍しく素直じゃん」




思えば、あの日、蓮央の後ろに初めて乗った時...。


彼の腰に手を回されたのはびっくりしたけど、嫌じゃなかった。


あの時からもう治ってたのかな...。



だとすれば、やっぱりこの男はすごいのかもしれない。