「道路走るのに何時間もかけてられるかよ。
仕方ねーなぁ...」
バイクのエンジンをかけた蓮央が、私と零羅さんの方を向く。
「高速に乗って結構飛ばすけど、いいか?」
「あたしは大歓迎!!うぇーい!!」
「いや、うん、零羅はな...。100キロ以上出してもはしゃぐもんな」
「だって楽しいもーん!!」
そう言って圭太に抱きつく零羅さん。
めちゃくちゃ可愛い。
外見の大人っぽさとは真逆に、天真爛漫で子供っぽいところがまた可愛い。
そりゃあ圭太も好きになるよね。
私とは違って素直そうだし。
「...咲誇は、いいか?この前とは比べもんになんないくらいのスピードだ。
もし嫌なら、一般道路使うけど?」
「事故らない自信があるなら、いいよ」
「圭太とよく150キロでツーリングするけど、いまだにゴールド免許だっつーの」
それは頼もしい。
運転技術は確かみたいだね。
まだ朝だしお酒も飲んでないし、信用しても大丈夫みたい。
無言で蓮央の腰につかまると、それを合図に蓮央は走り出した。
街中を進んでいると、行き交う人たちの目が私たちに向けられる。
族のバイクが4台。
そのうちの一台は派手な改造車、かつ、ライダーのヘルメットはゴールド。
注目されないほうがおかしいよね。
「ちょっ、見て見て!!
あの集団イケメン揃いなんだけど!!」
「マジで!?どこ!?」
「あそこだって!!超カッコイイ!!」
...あ、そっちか。
確かにこの人たちのイケメン度合いは群を抜いて素晴らしいと思う。
ヘルメットしてるとはいえ、目元は見えるし。
若くて可愛い女の子たちがキャーキャー言うのを気にも留めず、イケメン集団はそのまま走る。
...ただ1人、諒真さんだけは、女の子に手を振っていたけど。
ほんとにブレないなぁ、この人は...。
いつか本気の彼女が出来ても、ナンパだけはやめなそう。
ていうか諒真さん、本気で誰かを好きになったことあるのかな?
ないよね?
絶対。
今までもこれからもない気がする...。