そしてそれからさらに10分。


痺れを切らした蓮央が、諒真さんに電話しようと携帯を取り出した時だった。


諒真さんが、爆音を奏でるバイクと共に現れた。


全面ゴールドのヘルメットしてる...。

趣味悪いなぁ...。




「や〜、悪い悪い!!遅れた!!」


「遅すぎ。何してたんだよ?」


「女の子ナンパしてたら時間忘れててさ。
結局逃げられたし!!」


「...置いてきゃ良かったな」




蓮央に激しく同意。


諒真さんのナンパのために待ってたとか、時間の無駄すぎる。


呆れて言葉もないその場の全員が、出発の準備に入った。


それぞれがそれぞれのバイクにまたがる。


私や零羅さんは自分のバイクがないから、蓮央と圭太のバイクに二人乗り。


どうやら歩と真浩も二人乗りらしい。


仲良しだな...。




「それで、諒真。どこに行くんだ?」


「ふふふ...どこだと思う、蓮央」


「お前のせいで30分もロスしてんだから、さっさと教えてくれねぇかな」


「わぁったよ!!山だよ、山!!」


「山ぁ!?マジで言ってんのか!?」


「おう。この時期は紅葉がキレイだって、テレビのおねーさんが言ってたんだよ」


「...マジかよ...」




このあたりで一番近い山って言ったら、車で2時間はかかるよね。


そんなところまで行くのかぁ...。


遠足どころの距離じゃないよ。

もはや旅行だよ。