「知らないふりしても無駄なんだよ」




翠斗が何かを私によこす。


バサリとコンクリートの地面に落ちたそれを拾い上げてみる。



まず目に入ったのは、泣いている奈緒。


数人の女子に囲まれている。



そして。


1番大きく写っているのは、長い黒髪の女の子。


足を振り上げ、今にも奈緒を蹴り飛ばそうとしている瞬間だった。



何、これ...。




「それ、お前だろ?」




冷たい声の翠斗。



何言ってるの...?


これがあたしだなんて。



そんなわけないのに。




「翠斗...意味が分からないよ。
確かに私はこの子と同じ黒髪ロングだけど...」


「これ以上嘘つくなよ。...頼むから」


「っ、だから違うんだってば!!
これは絶対に私じゃない!!」


「...ここまで言われても、認めないんだな」




悲しそうな、呆れたような、そんな声。



どうしてそんな風に言われないといけないの?



私は何もやってないよ...!!