「本田。これはあくまでも提案だけどさ」


「...?」


「1ヶ月だけ、俺らの姫になんねーか?
嫌ならその後にやめればいいし、居たいなら居ればいい」


「...けど、」


「今は嫌でも、気が変わるかもしれないだろ?とりあえず俺らのことを知ってほしいんだ」




気が変わるなんてこと、絶対ない。


私の中の憎しみと絶望は簡単に消えるようなものじゃない。


それは確実なこと。



...だけど。



私も正直、うんざりしていたのかもしれない。


毎晩、絡んでくる男たちを返り討ちにして。

弱小暴走族を潰して。

盗った金で優雅に寝泊まりして。


そんな日々に、嫌気がさしていて。


少しは違う日常に足を踏み入れたいと、心のどこかで思っていたのかもしれない。




「...わかった」




だから、頷いてしまった。


彼らの提案を承諾した。




これが、大きな転機になるとも知らず。