それは突然のことだった。







「おはよう、みんな!」




私がいつもの屋上に顔を出すと、雰囲気がいつもと全く違った。


そこにはたくさんの人がいるのに。


誰一人、私に返事をしない。



何だろう...?


みんな機嫌悪いのかな...。



少し薄気味悪さを感じながらも、いつもの場所に歩いていく。



屋上の奥にある、大きなソファー。


そこだけが唯一屋根がかかっていて、雨が降っても濡れることはない。


そのソファーはいつも私と翠斗の2人が占領していて、今日もそうだと思った。




...けれど。


私の特等席には、別の女の子が座っていた。



彼女の名前は奈緒(ナオ)。


私たち【桜蘭】という暴走族の姫の1人。



ちなみに私も姫で、翠斗は私の彼氏。


それなのに何で奈緒が翠斗の隣に...?




「翠斗、おはよう...。奈緒、どうかしたの?」


「...よくもまぁ、普通に話しかけられるな」


「え?」




俯いていた翠斗が顔を上げる。



目が...怖い。


怒ったときの目だ。



それも、心から腹を立ててるときの。




...今日は、何かおかしい。