「なんでこんなに痛いの...」
「だから言ったろ、後悔すんなよって」
「...蓮央のバカ!!」
「はいはい、次からは手加減してやるよ。
今日は学校行かなくていいから寝とけ」
ポンッと私の頭に手を置いた後、蓮央はベッドの横に放られていた服を着始めた。
ズボンだけ身につけ、上は裸。
細身なのにしっかり筋肉のついたその身体が羨ましい。
いっぱい食べてるくせに...
なんで太らないんだろ。
女子の敵だ。
...とか思っていたら、蓮央の目がこっちに向けられた。
「...そんなに見られると照れんだけど」
「み、見てないっ!!」
「ふーん...。
シャワー浴びてくるけど、一緒に入るか?」
「入らないよ!!」
「じゃあ、また今度な?」
笑いながらそう言い、蓮央は部屋から出ていった。
今度って...
恥ずかしすぎていつになっても無理だよ...。
ていうかお腹痛い...。
蓮央の体温が残るベッドシーツにくるまり、目を閉じる。
『...俺がこのまま引き下がると思うか?』
蘇る二階堂の言葉。
彼は一体何をするつもりなんだろう。
これまで通り学校には行くけど、一人でうろうろなんて出来ない。
アイツらがいつ闇討ちしてくるか分からない。
蓮央の体温が、消えていく。
...それがすごく怖い。
二階堂は、そして翠斗は、【睡蓮】のみんなを狙ってる。
こんな事考えたくないけど、万が一、私たちが負けてしまった場合。
...みんなが、蓮央が、消えてしまう。
そう思うだけで不安で、どうしようもなく怖い。
私も、彼らを守らないといけない。
そして【桜蘭】を倒す。
諒真さんを救い、みんなで笑えるように。