大の字に倒れ白目を向く男を見下ろし、腕時計を確認。
...3分20秒か。
全然余裕だったね。
この男が言った、〝黒薔薇〟。
最近この辺で活動し、迷惑なヤンキー共を蹴散らしていく謎の女。
その正体は私。
別に有名になろうと思ってヤンキー退治してたわけじゃないよ。
さっきも言った通り、生きるため。
私が知らずのうちに、世間では〝黒薔薇〟という通り名がついていたというわけ。
フードを取ると、伸ばし続けている黒髪がふわりと揺れた。
そろそろ切らないといけないなとは思っているけど、復讐を果たすまでは切らないって決めてる。
早く強くなって、復讐を終わらせないと...。
私はそのまま倉庫を出た。
お金はとってない。
チームを潰した上にお金までとったらさすがにかわいそうかなって思ったから。
まぁ、また同じことを繰り返すようなら、今度こそ再起不能にしてあげるけど。
さぁてと。
今度こそ宿探しへGO。
と、元来た薄暗い道を歩いていると。
「何だそんなもんかよ!!」
「超よえーじゃん!!」
今度はゲラゲラ笑う男どもの声が響いてきた。
誰...?
うるさいんですけど。
見ると、裏路地で5人の男が1人の男をボコボコにしている所だった。
あーあ、ひどいねー。
寄ってたかって暴力ふるってさ。
できれば近づきたくないけど、そこを通らないと繁華街の本通りには戻れない。
知らないふりして通り過ぎるか...。


