溜まり場とは、港近くの大きな倉庫だった。


その周囲にはゴテゴテに飾られたバイクや車がたくさん停めてある。



あー、よくあるやつ。


暴走族のアジトってこういうもんだよね。



【桜蘭】もこんなんだったな...。




金髪が倉庫の重そうな扉を開けると、タバコの煙がモワリと香ってくる。


あまりの息苦しさに思わず顔をしかめた。



絶対にこいつらタバコ吸い過ぎ。


いつかきっと火事になる。



ま、その前に私が解散させてあげるけどね。




...さてと。


目標は...そうだね、5分ってとこかな。



5分で全部を壊しちゃおう。




「...ねぇ、中に入ってもいい?」


「おう、もちろんだよ」




金髪はご機嫌に答えた。



...それじゃあ、遠慮なく。



左腕の腕時計に目をやる。


秒針が、12を指した瞬間。



一歩、倉庫に足を踏み入れる。


と同時に踏み切った右足。


騒ぎ立てている鮮やかな髪色の集団に向かって、私は駆け出した。