蓮央の沈黙を肯定と受け取ったのか、北苑は私のほうを向いた。




「【睡蓮】のお姫様よ。
この男の元カノは、3年前に自殺した」


「自、殺...?」


「あぁ。...で、それに追い込んだのは俺だ」




え...

今、何て...?


蓮央の元カノが自殺...?


そう追い込んだのは、北苑...?



ジサツ...。


その日本語の意味すら、混乱した頭では理解が追いつかなくて。


ジサツって何だっけ、と場違いなことを考えてしまうくらい、意味が分からなかった。




「...帰るぞ、咲誇」




それまで黙っていた蓮央がおもむろにそう言い、私の手を引いた。


北苑の言葉がショックすぎて、蓮央に引かれるままに歩いた。


足元がおぼつかない。


それ以前に、思考が働かない。



公園を出る直前に、北苑の顔が見えた。


彼は...悲しそうに顔を歪めていた。